日本刀試し斬り研究所

第1、『日本刀試し斬り研究所』の看板を掲げている理由と必要性。
  1、古来は、師の許しを得て他流派の門をくぐり、修行して腕を磨くことが
   一般的であったが、現代の道場・流派では、一度その道場・流派に入ったら
   他流派の門をくぐり教えを請う事を禁 じている。
    この事は古来からの剣術修行の道とは違っているので、游神館は、流派に
   こだわらない、古来からの剣術修行の習わしを踏襲している。
  2、伯耆流以外の他流派の居合術・剣術でも、斬れない居合術・剣術の型を
   稽古している現状を打破し、真の「斬れる居合術・剣術」を目指し、誰もが
   気軽に稽古に出向き、習練と研鑽が出来る様に、広く門戸を開けている事の
   意味で『日本刀試し斬り研究所』の看板を掲げている。
第2、必要性
  1、斬り稽古できる鍛錬場が少ない事。
  2、この看板が在る事で、居合術・剣術の習練者は誰でも流派にこだわらず
    気兼ねなく訪れて、《巻きわら斬り》をやり、斬り技の 研鑽と習練をし、
    いろんな課題に取り組める。
  3、古来伝承の剣術の一つ、居合術を正しく後世に伝え残したいと思っている。
第3、研究課題
1、現在伝承されている古流居合の型で、実際に巻きわらを斬る事が出来るかどうかの
  検証と実証。
 ⑴、身体の使い方、(特に腰使い)足捌き。
  ①、斬る事が出来る腰使い体捌きであるかどうか。
  ②、前に斬りつける瞬間、腰を左後ろ方向に回し引いてはいけない。
    左に腰を回し開くと、斬る力が逃げて、巻きわらを斬り通せない。
    伯耆流「追い掛け抜き」など逆袈裟抜き打ちの稽古で、こういう誤った刀法を
    見かける。
 ⑵、刀法は居合術として合致しているかどうか
  ②、柄の握り方、刀の抜き方、鞘引き、刀の使い方(刀線・刀勢)
    無駄な動きや、死に体になる刀使い、体捌きではないか。
  ➂、刃筋を通しているか、刀勢を活かしているか。
  ④、斬り始めと斬り終わりの姿勢、刀を止める動きをしていないか。
  ⑤、死に体になっていないか?等
 ⑶、特に刀の抜き方について、居合とは言えない抜き方をしていないか?
   ゆっくりとした動きで抜いたりなどしてはいないか?
 ⑷、抜く時は、鞘走らせる事(柄に手を掛けたら瞬時に勢いよく抜く事)が最重要で
   る。
  ①、《能・芸》などで使う拍子用語の動きの「序・破・急」の抜き方でゆるゆ
   いてはならない。
    敵の素早い必死の斬撃を受け深手を負うか、命を失う事間違いない。、
  ②、 序破急の拍子で抜き打ちしても、巻きわらを斬り通せない事は歴然としている
  ➂、 初心者が修練をする場合は、怪我などしないように、抜きから斬る迄を三拍子
    に分けた動きで修練を積むも良し、序破急と同じような動きの抜き方である。
   ※ 刀を抜く時は気を静め、拍子を遅く抜き始め、中に拍子を早くし、斬つけ
    拍子は、敵の斬撃に負けない気迫を込め、最速・急激になる習練をする。
  ④、 熟練者は、手掛けたら(柄に手を掛けたら)鞘走らせる。
    鞘走らせる時は、内に秘めた、初速・中速・最速となる事は必然である。
  ⑤、鞘走らせて抜くのを「ごぼう抜き」と言う指導者がいると聞いているが、
    ごぼう抜きとは何か?
  ⑥、居合術を習練するうえで、一番重要な《鞘走らせる》という居合用語を知り、
   且つ、その技術を会得しなければならない。
  ⑦、熟練者に対しては、抜き打ちの刀の抜き方に、序破急で抜かなければならない
   等と誤った指導をしてはならないし、習練者はそれを実践してはならない
  ☆ 居合術を鍛錬する者は、居合術派生の源流と本質を能々理解する事が肝要です。
  ☆ 居合術の本質をはき違えた刀法を指導し、または鍛錬・習練してはいないかを
   省みて研鑽すべきだ。
 ⑸、誤った刀法で鞘引きをしていないか、無駄な鞘引きをしていないか。
    ・・・鞘の小尻を右腰辺りまで、大げさに引く無駄な動きなど。
 ⑹、敵の殺気、若しくは斬撃に応じた俊敏な動きをしているか?
  イ、殺気若しくは斬撃に応じ、敵に目付し柄に手をかけ
  ロ、敵に向き態勢を取り
  ハ、鞘走らせ抜き打ちする
  ◎ 初心者は、抜き打ち迄の、イ、ロ、ハ、の刀法を分解した動きで稽古する。
  ◎ 熟練者は、イロハの動きを瞬時に行う。
    所謂《抜く手も見せず抜き打ちする事》が出来る様に習練すべきである。
  ※  昭和12年発行の、伯耆流居合術の伝書にも明記してある。
    監修 中崎辰九郎先生、著者代表 迫一郎先生
    ・・伯耆流星野派 星野九門先生・星野龍太 両先生に師事したお二方。
 ⑺、抜き打ちから、二刀目のとどめまで動きを止めず素早くやっているか?
  ①、抜き打ち後、刀の動きを止めて死に体になる刀法を稽古している現状である。
  ②、指導者自身が、居合術派生の源流と本質を能々理解し研鑽して、真の居合術に
   近づけるような指導をすべきである。
2、指導者と習練する者の居合術に対する認識
 ⑴、真の居合術刀法とは違った事を指導し、それを習練していると云う事実を自認す
  る事が重要である。
 ⑵、そして、忠言するの言葉を真摯に受け止めて、反省すべきところは反省し、
  真の居合術を伝えなければならないという使命感を深く自覚すべきであろう。
 ⑶、何度も繰り返すが、居合をする者は居合派生の源流と本質を能く知り研鑽する事が重要
3、居合に対する認識を新たにするための方策
 ⑴、居合をする者は、居合の型で巻きわら斬りが出来るように研鑽と習練をすべきである。
 ⑵、型稽古と巻きわら斬り稽古両輪の如く修練する事を心掛ける。
 ⑶、 誤った刀法で習練しない事が必須である。
 ⑷、巻きわら斬りをやれば、これまで稽古してきた型と違うという事を理解でき、真の居合
   刀法を知り得る。
第4、正しい刀法・斬術を身に付ける方法。
1、巻きわら斬り鍛錬を行う。
 ⑴、初心者は竹芯無しの半巻きわらで斬り稽古を始める。
 ⑵、次に竹芯無しの八分巻きわらを斬る稽古。
 ⑶、斬る手の内が出来てきたら、竹芯入りの半巻きわらを斬る稽古。
 ⑷、次に竹芯入りの八分巻きわらを斬る稽古。
  ☆ 熟練度によって進めていく。
2、骨断の手の内
 ⑴、游神館では、古来からの青竹芯入り巻きわらを斬って、伝承の鍛錬法をやって
  おり、手応え充分であり、《骨断の手の内》を知り得 る事が出来る。
 ⑵、 熟練すると、巻きわらの《芯竹を斬り通す時の感触》も手の内に判ってくる。
  ○  最近では竹芯無しで試斬する時もある。
3、刃筋と、力量を試す。
   手の内・刃筋を、確かなものにしているかどうかの検証をする。
 ⑴、土壇場斬り・・・古来の土の台では無く、腰の高さの木製の台。
    巻きわらを横にして、台の上に数本上下に重ねて斬る。
 ⑵、多本斬り
    巻きわらを数本立て並べて斬る・・・7本斬りも出来る様になりましょう。
 ⑶、二畳巻きや、三畳巻きなど太巻きわら斬り
  ①、斬り始めと斬り終わり迄を、刃筋良く斬れたかどうかを見極める為には、最適
   の方法である。
  ②、斬り口(斬り面)が平らになっているかどうかが直ぐに確認でき、どの箇所で
   手の内が悪くなっているかが一目瞭然であり、改善に役立つ。
  ➂、二畳巻きや、三畳巻きなど太巻きわらを、片手打ちで斬る事が出来る様になれ
   ば達人の域であろう。
第5手の内の更なる強鍛錬・奥義
 1、刃筋と手の内の強鍛錬
  ⑴、番重要な、斬る手の内・手首の使い方など
   ①、《笹の葉斬り》・ゆらゆらしている小枝の笹の葉を、踏み込み瞬時に斬る。
    非常に難しい斬術であり、游神館員でも高位の者しかできない技。
    巻きわら斬りをかなり習練し、斬る手の内が出来ていないといきなり笹の葉
    は斬れないだろう。
    ☆ 水豆が、3~4回もできて治った頃になると、どうにか出来るようになる。
   ②、それが出来るようになったら、小枝斬り。
   ③、小枝から段々と竹を大きくしていく。
   ④、遂には、牛乳瓶位の竹もスパッと斬れる様になる。
    ☆ これ位に成ればひとかどの剣士だ。
 2、奥義・ダブル絞りの手の内と押し込む手の内
  ⑴、3枚巻きなどの太巻きわらや、牛乳瓶位以上の青竹を斬る時は、斬り込み瞬時
    に押し込む手の内(ダブル絞り)で斬る。
     ・・・力任せに柄を絞り込む事ではない。
   ☆ この手の内は、直心影流 秋吉宗家と、他に数人が出来るが、数年鍛錬して出来
    ない者もいる程の高度な手の内である。
  ⑵、達人になると、直径5センチ位の青竹を横に置いて、土壇場斬りが出来る。
   ☆ 館長、直心影流の秋吉宗家・中嶋師範代の青竹土壇斬りや、女子副館長の青竹
    斬り動画をインスタグラム等で見れる。
第6斬る手の内を知る重要性。
 1、真剣や模擬刀で、ピューっと樋の音を出して威勢よく振る事は出来ても《 斬る手
   の内 ・刀法》を知らないと、おいそれと巻きわらや青竹は、斬れない。
 2、日頃稽古している居合の型で、巻きわらも斬れないでは、真の居合術を稽古して
   いるとは言い難い。
 3、何度も繰り返すが《型だけ稽古する刀法・手の内》と《斬る刀法・手の内》とは
   全く違うと云う事を知らないと、真の居合(剣術)には近づけない。
第7、游神館では、斬る手の内・刀法を習練できるので、真の居合術(剣術)の刀法と
  は、どういうものかが理解できる。

刀の知識
打ち刀・・・刀は、刃を上にして腰帯に差すもの。
 30センチ未満を「短刀」
 60センチ未満を「脇差」
 60センチ以上を「刀」
太刀 ・・・刃を下にして腰帯に吊り提げるもの。
この他、槍、薙刀、長巻などがある。